外国からの技術導入

国内の研究開発の進展もさることながら、韓国の技術進歩はその大半が、やはり外国からの導入に大きく依存しているのが実情であろう。1981−87年の間に2,598件導入し、それは過去25年間(4335件)の60%を占める。ロイヤリティ支払いもそれにつれて膨らみ、同期間に2億5,100万ドルに達し、過去25年間(19億5,000万ドル)の77%にあたる。

導入先は件数ベースで日本が2,341件で断然トップ(54%)を占め、アメリカの1,057件(24.4%)、西ドイツの228件(5.2%)、フランスの147件(3.4%)を大きく離しているが、金額ベースでは、アメリカが8億6,300万ドル(44%)で日本の6億800万ドル(32%)、西ドイツの7,900万ドル(4.2%)、フランスの6,600万ドル(3.4%)をかなり離している。1件当りのロイヤリティにしては、アメリカ(81万6,000ドル)が日本(26万ドル)の3倍以上の規模になっているのである。

技術導入の産業別をみると、86年現在の累積金額ベースでは電子・電機(19.9%)、石油・化学(19.5%)、機械工業(19.2%)、電力(19%)の4者が全体の70%を占めているが、80年代とりわけ84年以降、電子・電機と機械・輸送が増えているのが注目される。86年の1年間技術導入は、電子・電機(36.0%)と機械・輸送(25.1%)がそれぞれ1、2位にあたり、またアメリカ(46.6%)と日本(35%)が断然大きなウェイトを占めている。

この技術導入が外資導入(投資)と緊密な関係にある。電子・電機工業における外国資本は、83年以降急増しており(ただし景気低迷した85年は若干落込む)、86年には約6,700万ドル、製造業外資投資の25%を占めるにいたった。87年に入って、その勢いはさらに増し、8月現在まで1億5,900万ドル、製造業の33%を占める。

それに続いて、輸送・機械工業が急追し、87年に入ってからは化学工業が盛り返してくる。こうした外国資本の動きをみると、韓国の技術導入は、外資導入と一体的関係にあると考えてよいであろう。これら技術導入と外資導入(投資)が各産業においてどのように韓国民族土着資本と「結合」しているのか、その実態はケース・バイ・ケースでみていくしかないが、ここではそれに立入る余裕はない。以上のようにおおまかにみると、韓国の技術進歩の推移や水準は、つぎのようないくつかの特徴があるのではないかと思う。

1つは、技術導入がまず化学工業においておこなわれ、それから機械・輸送、さらに電子・電機工業に拡がっていくプロセスをたどっていること。これは大きくみて、先進工業国の技術革新の潮流にあわせた、韓国側のおかれた条件を物語っているのであろう。いま1つは。技術導入が財閥巨大企業中心におこなわれたこと。技術導入が資本提携と深い関係にあるからであろうが、技術導入に占める中小企業(全国製造業企業数の97.5%を占める)の比重はわずか22%しかないのである。