日本におけるホームビデオ開発の過程

トランジスタラジオや50CCのオートバイから始まったハイテク大衆耐久消費財の開発路線は、このような日本的経営のなかで、この時期にいよいよ絢爛たる花を咲かせた。その主なものを並べると、次のようなリストになる。

LSIはコンピュータのメモリーとしての部品であるから別としても、他の製品は必ずしも使いやすいとは言えない。改良に次ぐ改良で使いやすくなった面もあるが、いろいろな機能がごちゃごちゃと付け加わって、かえって使いにくくなった面もある。しかし、消費者として助かるのは、これらの日本製品はどれも信頼性が高くて、故障が少なく、故障してもアフターサービスが良く、短時間に修理してくれることである。

ビデオテープレコーダーは、アメリカのアンベックスが開発したもので、初めは放送局のプロ用の特殊機器であった。当初、放送局でそれで何度も映像を見たものだが、この高級機器が家庭用になるとは予想できなかった。実際アンペックスは、ホームビデオの開発に向かったのだが、商品化の目処かつかず、中途で放棄してしまった。

ビデオはエレクトロニクスとメカニクスとの結合物だが、双方が高度の技術を要求していて、家庭で乱暴に扱われても容易には故障しないという設計は難しい。そのうえ安価でなければならないから、設計も製造ラインも複雑すぎては困る。

アメリカのMITの研究者たちは、アメリカと日本とのホームビデオ開発の過程を分析して、日本の技術者が長い年月をかけて試験・調整・改良などを積み重ね、製品と製造工程についてのノウハウを十分に蓄積したのに対して、アメリカの企業も技術者もその辛抱が足りなかったことを指摘している。

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