DRAM、「ビスタ」不振で採算ラインに接近

パソコン用DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の価格が1月から下げ止まらない。2月後半の大口価格は前期(2月前半)比で一気に約14%も下落し、1個当たり約4.4ドルになった。3月も下げ止まる気配はなく、1個3ドル前後とされるDRAMメーカーの採算ラインに刻一刻と近づいている。

急落の原因は1月末に発売された新型基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」搭載のパソコンの不振だ。大手調査会社BCN(東京・文京)の田中繁広取締役は「ビスタは画面の見やすさやセキュリティー機能などが強化されているが、何が売り物なのかがいまひとつ消費者に伝わってこない」と商品インパクトの弱さを指摘する。

ただDRAMメーカーは「今年後半になれば需要は必ず上向く」と強気の姿勢を崩していない。ビスタ向けには最低でも容量1ギガ(ギガは10億)バイトのDRAMが望ましいというのが通説だが「本当にスムーズに動かすには2ギガバイトが必要」(同)。値下がりすればそれだけ容量が大きいDRAMの搭載ができるようになり、「2ギガ標準」につながるという計算だ。

一方、国内の大手パソコンメーカーの部品調達担当者は「急いで容量を増やす必要性は感じない」と冷ややかだ。実際、1ギガバイトでは動作が遅いという苦情は消費者からはほとんど来ていないという。

米国などでは容量1.5ギガ―2ギガバイトのパソコンも増えつつあるようだが「2ギガ標準」が本当に実現するかはもう少し見極めが必要。その結果次第では、DRAM各社も戦略の練り直しを迫られそうだ。