BRICsの大型連休が商品需給に影

新興国BRICsのうち、中国とブラジルが2月に入って相次いで大型連休を迎えた。世界経済への影響力を強めている両国だけに、長い休暇が素材や農産物などの需給や市況に微妙な影を落としている。

中国は18日から24日が旧正月である春節。現地ではこの前後から企業や行政機関が休みに入る。休み明けに値上がりするとみられるのが、ポリエステル原料となるエチレングリコールのアジア価格だ。

サウジアラビア国営のサウジ基礎産業公社は指標となる東アジア向け2月積み価格を1トン930ドルに据え置いた。昨年11月から同値が続いた理由は、最大需要国である中国が春節の連休に入るため。ポリエステル製品の工場稼働が低下することを織り込んだ値決めだったが、近く春節休暇が終わるため、中国で生産活動が再開され需要が高まる可能性がある。

このほか、かつては年末の国内パソコン商戦後、下がることが多かったノート型パソコン用液晶パネルの国内価格も、中国の春節需要で下落しにくくなった。

ブラジルは2月17日から20日までがリオのカーニバルの時期だった。同国ではこの期間を挟んで10日前後の休暇をとる企業が多く、港湾業務や農産物などの出荷作業も休みとなる。

この影響を受けたのが輸入ブロイラーだ。世界各地で鳥インフルエンザが発生した結果、ブラジルからのブロイラーは輸入品の大半を占める。食肉会社によると、2月の対日向けの船積み量は普段の月の3分の2程度に減る。しかも、この時期はブラジルの内需も高まる。

ブラジル産の国内価格は大きく動かなかったものの、食肉会社では「品切れを起こさないように、あらかじめ数カ月かけて在庫を積み増した」と話す。日本側が何も手を打っていなければ市中価格が上昇した可能性も否定できない。

2月に入りほぼ下げ続けていたニューヨーク市場のコーヒー先物終値が14日、15日に上昇する場面があった。最大産地ブラジルからの出荷減が強材料視されたようだ。

BRICsでの連休需要が商品価格に与える影響は今のところ限定的。しかし、各国の経済成長が進めば、これまでになかった品目の価格で、連休需要が顕在化することがありそうだ。